龍の島

 

大きな海の中に龍のカタチをした小さい島がありました。

 

島にはまじめな人々がまじめに暮らしていました

 

 

家もあるし、子どもは学校へいき、飢えて死ぬものもおりません。

 

なんて豊かな国だろう 島の人たちはしあわせでした。

 

あるとき、大きな地震がきて海が暴れて島を襲いました。

 

たくさんの人も、家も流されてしまいました。

 

そして、大きな工場がばくはつしました。

 

工場からはたくさんの毒が出ましたが、毒は目に見えませんでした。

 

海が襲ったのも毒が出たのも龍のカタチをした島の首のあたりでした。

 

龍の頭やお腹や尻尾に住む人は、龍の首のあたりから遠くはなれていました。

 

龍の島は、首以外はまたもとどおりしあわせな島になりました。

 

龍の首に住む人たちはどうなったのでしょうか。

 

龍の首に住む人はバラバラになっていました。

毒に弱い人たちはその場所から離れていきました。

家をたてなおして毒から身を守り、工夫して住む人も居ました。

 

ある人に聞きました。「海が暴れたせいでずっと不幸だ」

ある人に聞きました。「毒が出たせいでとても不幸だ」

ある人に聞きました。「海が暴れたおかげでむかしよりもしあわせになったよ」

ある人に聞きました「毒のおかげでまえよりずっとしあわせになれたさ」

 

しばらくすると龍の島に、また大きな地震が起きました。

海が暴れてたくさんの人や家が流されました。

龍の頭も、お腹も、尻尾も流されました。

やっぱり大きな工場が爆発して毒が出ました。

 

龍の島の人は不幸になったと思いました。

 

すると

龍のお腹にたくさんの人が現れました。

龍の首の人たちです。

そして、龍のお腹の人たちを手伝いました。

 

そのころ

龍の頭にもたくさんの人が現れました。

龍の首の人たちです。

そして、龍のお腹の人たちを手伝いました。

 

なんと

龍の尻尾にも現れました。

そして同じ事をしました。

 

どこにも現れない龍の首の人たちも居ました。

 

龍の島は静にそこにありました。

 

海を渡った遠くの国々では、悲しい出来事がつぎつぎ起きていました。

大きな工場がいくつも爆発して毒が出ました。

貧乏で住む家が無くなりました。

諍いが起きました。

子どもが殺されました。

食べ物が無くなりました。

どの地にも龍の島の人たちが現れました。

龍の頭と首とお腹と尻尾の人たちです。

そして手伝っていきました。

 

何所にも現れない龍の島の人も居ました。

 

龍の島は静にソコにありました。

 

龍の龍の島の人に聞きました。

ある人は「不幸だ」といいいました。

ある人は「しあわせだ」といいました。

ある人は「まえよりももっとしあわせだ」といいました。

 

遠くの国々もソコにありました。

ある人は「不幸だ」といいいました。

ある人は「しあわせだ」といいました。

ある人は「まえよりももっとしあわせだ」といいました。

 

たくさんの人が龍の島の言葉を一つだけ覚えていました。

 

「おたがいさま」

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