親が子どもに出来ること。

このまんがは、去年教育関係の本に載ったもの。

13年前に離婚して、ずっと1人で子どもを育てた。

実家の両親にもしばらく離婚も言い出せず、

イラストの仕事も激減してきた所で、収入も安定せず不安のカタマリだった。

仕事が終わり、お腹をすかせた子どもたちとスーパーへ行った帰り道、

手をつなぎたがる子どもに荷物を持たせてやっと手をつないで

大きなきれいな月が出ていて、この子たちは私なんかを信じてついていくしかない、

私が守るしかないと、思った瞬間すごく心細く、泣けてきて、

心のなかで子どもみたいに「おかあさん、おかあさん」と私の母を呼んだ。

借金と、〆切と、とても越えられないような不安を抱えて

やるしか無くって進んできた。

どの家庭にもあるように、いろいろな出来事がつぎからつぎへと空襲のように

降り注ぎ、間違いもあったけれど、子どもは19歳と15歳になった。

日本では幸いな事に生活苦で命を落とすことはない。越えられるものだ。

私を支えたのは、子どもたちだった。

この子たちを、無事育てることが出来たのは、それを頑張れたのは、

こんな私への、子どもたちの愛、無条件で疑いの無い信頼があったからだった。

いつだって、子どもは未熟な心で、愛する人を思いやる。

自分でも気がつかずに。

だから、一番努力したのは、間違いなく子どもたちだったと思う。

私が、仕事に必死に打ち込んでお金を稼いだのも、

両親に頼らず、子どもたちの父親に望まなかった事も

全部、間違いなく、子どもたちの私への愛と努力があったから出来た。

両親が揃っていても、片親でも、他の人に育てられていても、

同じだと思う。

 

「子どもに苦労をさせたくない」なんて親の思い上がりだ。

基本、子どもは苦労するのだ。

子どもたちも自分でも気がつかずに、親を思いやって空気を読む。

それぐらい、標準装備されている能力だ。

その能力は、いかなる大人の事情も受け入れる。

「子どもの心のケアを」と言うが、

子どもの空気を読む能力は、大人のそれと違って100%愛で出来ていて大人には気がつけないだろう。

私が周りに遠慮した分、上手く生きられなかった分、

未熟だった、不器用だったツケは子どもたちが払う。

せめて、親に出来るのは、死なせないよう育て、

自分の可能性を十分に楽しみ活かせるよう希望を持つ事を応援する事だ。

子どもが、本当に幸せを感じて生きられる人になるように。

自分でつかむ幸せの嬉しさ、成し遂げたときの喜びを知る人になって欲しい。

勇ましく愛を持ってつきすすむ人になって欲しい。

なぜなら、それらが出来れば何が起きても自分の力で楽しく生きられるからだ。

そのためには、まず、親の私がそうなってみせなきゃならないと、ずっと思ってきたんだ。

けど、私自身のほうが、子どもたちに、どれだけ純粋に愛されてきたか、気がついたのはつい最近の事だ。

子育ての先輩として言う。

今、自分たち親も子どもに守られている。

その子がどんなに小さくても、見えない敵から私たち親を守ろうと、

大きく手を広げて立ちはだかっている事を想像して欲しい。

みんなと同じように、私も二人の子どもを愛している。

息をして笑ってくれているだけで、他に何も要らぬほど有り難いのに。

「すべてのおとなが、すべてをのりこえて、こどもたちがまもれられますように」


コメント (7)

  1. 鉄の嫁 より:

    私は両親が離婚した元子どもです。
    柚木さんはいい母さんだと思います。
    子どもがてをつなぎたいと思い、
    手をつないでくれる

    ウチの母はこどもの手をつなぐことを嫌い、
    父は手のつなぎ方を知らなかったようです。
    今、こどもが私達夫婦を信じてくれて
    いっしょにいることを楽しんでくれていることが
    とても有難いです。
    家族の時間を楽しんで味わって、
    守りたいです。

  2. potosutopo より:

    心のなかで子どもみたいに「おかあさん、おかあさん」と私の母を呼んだ。

    ここで 鼻がつーーーーん と
    ウルウルです

    赤ちゃんだったのが 幼児になり
    歩けたり 話したり 
    2歳になって 自分でやりたがったり
    いっちょ前に 自分の意思を曲げなかったり・・・

    でも 手とか足とか
    ほんとまだ 小さくて・・

    おてて  って感じです

  3. カンナミーヤ より:

    子供は本当に宝物ですよね。
    育児しながら育自しています。
    本当に母親をやらせてもらっているのはありがたいと思います。

    うちの親は
    自由業だったのであまり裕福ではありませんでしたが
    ご飯は必ず手作りで
    貧乏の割にエンゲル係数の高い家庭でした。
    コンビニの弁当やお惣菜を買うとひどく怒られます。

    今になって食事の大切さもやっとわかってくるようになりました。

  4. junjun2012 より:

    私も常々子どものほうが、無条件に親を愛してくれていると感じておりました。

    よく親の子に対する愛が無条件などと言いますが、それってまったく逆ですよね。親は何かしら条件を付けている。でも子どもは何があっても親を信頼して自分を愛してくれることを期待して待っているし、まっすぐに親を愛してくれている。

    いつも、そんな子に育てられていると実感しながら
    可愛い息子に日々愛されていることを楽しんでおります。

    「子どもが、本当に幸せを感じて生きられる人になるように。」
    これが一番大切ですね。

  5. まありん より:

    私も、一生懸命、自分なりに母親しながら、
    私の親の愛より、子供の私への愛のほうがほんとうだ。
    と感じてきました。

    同じように感じている人が複数いることをしって、
    今とてもうれしいです。

    同時に、こんなに無条件に子供たちに愛されているのに
    飲んだくれたり、さぼったり、迷惑かけたりして、
    どうしてこんなに私はだめな人なんだろうと
    今日もどうしても思ってしまいます。

    このブログにであって、
    私は、よいことに気づきました。

    自分がだめだなあとおもってしまったとき、
    これからは、

    あんなにだめな私の両親を
    私だってこんなに愛しているじゃないか!
    と、
    自分自身をはげましてやろうと思います。

  6. としこ より:

    コレよんでますますミサトさんが好きになりました。ありがとう。

  7. たま より:

    つぶつぶの絵をダウンロードしたくて、こちらに初めて来ましたが、いろいろ読んでいて、そして今日のを読んでいて、涙がこぼれました。
    今、あたしの足元には幼稚園に入りたての子供が寝ています。
    放射能から離れたくて、実家の関西に母子だけで行こうかずっと悩んでいる日々です。
    あたしが子供を守っているだけじゃなくて、子供があたしたち夫婦を守ってくれているんですね。
    思い当たることがたくさんあって、そしたら涙が出てきました。

    今日の以外のもたくさん読んだけど、どれもとても素敵な考え方で、あたしも自分自身のやり方でやればいいんだ、と改めて思えました。
    ありがとうございます。

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