メッセージなどいろいろ
まずは、震災からの私のこと。
私は、厳しいと思う。この厳しさは色んな所から来ている。融通も利かない。我も強いと思う。この一年でびっくりするほど自分が変わったと思う。いろんな人が居ることを認めることが出来た。相手の行いを自分の物差しで測ることをしなくなった。
絵が広がって、みんなに知られ、自分に注意してきた。調子に乗らないこと。人を責めないこと。ずっと気をつけようと思ってた。私は調子に乗るし、自分が何か出来ると人の出来ないことが気になる性格だから。ストイックになり過ぎないことも。余裕が無いと更に人のやれてないことが気になるから、バランスを取るために目的に関係ない所ではよけいな義務を果たさないようにした。
何でも出来る私になろうとするのをやめた。もともとあきれるほど色んなものが抜け落ちてる私が、無理していたのだから。
ちゃんと言葉と行動にして伝えようと思った。ネットで出会った人と、瞬時にコミュニケーションをとって何回も打ち合わせするようなことを一緒にやるのは、とてつもなく面白くてスリリングなことで、そのために無防備に相手を信じる。人目を気にする我の強い私が、おかげで自然と素直になる。
強い目的があれば、自分を変えることなど雑作無いことだった。
こんなことを書いているのは、3.11のイベントにメッセージが欲しいと言われて、私も是非書きたいと思ってすっと前から書いているのだけど、ちっともまとまらないから。もう一度私に何が起きたのか考えてみようと思って。何も言えないんだ。被災地で起きたことには。少しでも理解しようとちょろちょろしたぐらいでは、人の痛みなど、まったくわからないということがわかったんだ。私は友だちが悲しんでいても、その心の痛みを想像しても、私の想像を遥かに超えておおきくて、想像もつかない方向に流れてるんだ。
私は、人というものは強くて才能があると信じている。誰ももれなく。その才能を発揮できない原因は、人に評価されたいという心だと思う。人目を気にしたときに、輝きが失せる。自分の能力を自分で制限してる。自分には出来ないと。私は、みんなに力があると信じている。
被災地の人たちへは、もうただただ祈るばかり。出来ることをするのが祈りでもある。尊敬している。その強さや頑張りや、ただ耐えることも、何もかも。私はもっと力をつけてもっと出来ることを探したいと思っています。かける言葉もまだ見つからない。
【岐阜県に住む私のような西の人たちへ】
一年時が経ったからとて、まだ何を思っていいのか私にはわかりません。被災地に足を運んで、少しばかり話をしたって、被害を目の前にしたって、大きすぎるその痛みは私には想像もつきませんでした。せめてこの日に、色々な場所でそれぞれが思うようにすごすことが出来ればと願います。
自分がもっとも役立てることは何か考えて、子どものための放射線学習テキストを作り、あかいつぶつぶの絵を描き、沢山のイベントに参加させてもらってやれることを、突き動かされ闇雲にやってきた一年でした。愛がなくても衝突し、愛があっても衝突し、困難ばかり山積みな中で新たに見つけたすばらしいものも私たちはつかんだと思います。まだまだ出来る。もっともっと変わっていけるつよさがある。沢山の人の中にそれがあることを確信したところです。
私たちは、今のままの暮らしでは、自分自身も子供たちも守れません。そのためにはどんな社会にしなくてはならないでしょう？今までの人生に何が足りなくて、何が必要の無いものでしょう？その時、どんな助けが要るでしょう？今住む所を追われたらどうやって何所へ行くのか行けるのか。自分の準備すべきことを考えてください。地震や津波の被害を受けても、放射線に囲まれても、想定内で軽やかに身をかわすつよさや柔軟さ、考えが違っても愛を持って助け合う心も必要です。守るだけでなく、どんな状況でもしあわせを打ち砕かれないように進化しなくちゃならないんです。
これは私たちの生き方を大きく変えることです。これは、西にすむ私たちが先頭を切ってやってみせることです。その方法を実行して伝えることの中に脱原発もあるのだと思います。私たちは元通りになることや、脱原発だけを目指しているわけではありません。どんな状況にも打ち勝ち今まで以上の幸せをつかみ取れるようになることを目指しているんです。
それが、今困難の中に居る人たちにも必要なものだと思います。
３月１１日を思いながら すべてに愛いを込めて 柚木ミサト