母と飲みました

夜、大きな木が見える席でひとりお酒を飲もうとした時です。
向かいの席に、母が居るような気がしました。
「ええとこだわね。いっかい来たかったのよ」そういって斜めに腰をかけています。
いそいで同じものを注文して向かいの席に置きました。
私のグラスが空になる頃、さっきまで「そんな気がした」のに、何も無くなっていました。
よく、身近な人が亡くなると「あ、今来てる」とかわかると聞いていたので、ちっともそんな気配のない母に、まあちょっとちょろちょろするとか、ないわけ?と悪態をついておりました。

呼吸器不全は、たいへん苦しい病気で、酸素が足りなくて何度もパニックになるのを共に体験しましたから、もう、楽になったことが嬉しくて嬉しくて仕方在りませんでしたから、まあ満喫しているのならそれでいいかと。
そもそも、あんまりベタベタする人ではなかったので、、さっさとダンスホールにでも行って踊っているのだと思っていました。
母が祖母に甘えきれなかった気がしていたので、おばあちゃんに会って「よう頑張ったね」とハグしてもらってるといいなぁと、祖母にお願いしました。

母も見送って一年が経とうとしていて、私も自分の人生ここらで見直してみようとか思って、
いま、1ヶ月ほどバリ島に居るわけですが、観光に来る老人も多く「ああ、お母さんはこんな感じだったなぁ」と思うのが、明らかに母よりも10や20は年上なわけです。

なんで、あんなに生きたんだろうか。

生きているのが不思議な状態だったのではと、今は思います。

たぶん、ただ私の側に居たかったんだと思います。

手間がかかってもいいから、私もずっとこのまま生きてもイヤだと思わないということを信じていたんだと思う。
くっついてテレビを見たりしながらベッドに座っていたのが、いい感じだったんじゃないかと。
もっと生きたかっただろうし、病気が治ることならどんな手術でも受けてみたいと言ってました。

私も母も、過不足無く「満足だった」と言える瞬間にいのちが閉じた気がします。
予定より多く生きたと思います。
予定よりも多く生かせたと思います。

母は、まあまあわがままであったし、残していく子どもに何か伝えなくちゃとか思うタイプでなかったようで、あたしはなんか実の在るような話がしたかったわけですが、そんなこともなく。
父と弟が交互にしょっちゅう部屋を覗くので、寂しい気持ちも無かったんじゃないかと思います。(そして、覗いてもまあまあツレナイ)
おたがい、わがままで下手だったわりには、ええ感じだったじゃないでしょうか。

あんまり深く考えなくても子どもなんて勝手に育つのではと思います。
とくに教育された覚えも無いです。お願いはしたけど、口を出されたこともアドバイスを受けたことも在りません。得意なことだけせっせとしてくれました。
母の弱いところは私を強くしました。
しゃきっとはしていました。立ち振る舞いは。
身体が利かなくなっても、その勇ましさは残っていて、横着でかわいかったです。

病院通いは何十年もだったから、馴染みの看護師さんも多く、プライドの高い患者さんだという認識があったみたいですが、嫌われてる様子も無く、みっともなくないように気を使ってくれて嬉しかったです。

こういうことを日記に書けば、腑に落ちていくのだと思いながら今までも同じようなことを繰り返ししたためるのですが、どうも、そうじゃないみたいです。
静かに日常に溶け込んでいるだけで、ふいに鮮やかに目の前に降ってくる。
今日は、母の人生は総合的にまあまあよかったんじゃないかなあと思えた。

愛しく家族に気にかけられて、さらに最後までおしゃれに、餌でなく食事をして、母がうつくしく見えるよう車椅子に座らせた。

まあまあに出来たのは、あたしが居たからだよなぁ。

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